ナノ粒子を配合した目薬で近視や遠視を矯正する研究

先日ポルトガルのリスボンで開催されたESCR(ヨーロッパ白内障屈折手術学会)にて、ナノ粒子を含んだ目薬を点眼して屈折異常を矯正する興味深い研究が、イスラエルの研究グループより発表された。

Nanodrops for restoring refractive errors
「屈折異常を元に戻す目薬」

LISBON2017  XXXV Congress of the ESCRS. (7-11 Oct.)
European Society of Cataract and Refractive Surgeons (ESCRS) website

発表を行ったのはイスラエルのバー・イラン大学 ナノテクノロジー応用材料研究所のDavid Smadja博士らのグループで、特殊なナノ粒子を含んだ目薬を10頭のブタに投与し、屈折異常の矯正を試みたとのこと。ナノ粒子を含んだ目薬を点眼することにより、角膜表面(深さ60μmの範囲)にナノ粒子が観察されるようになり、平均で近視側で2.24±0.07D(ジオプター)、遠視側で1.96±0.2Dの補正値が得られたとのことである。

角膜は目の光学系のなかでもっとも屈折力を持っている(全体の約2/3)部位で、最表面に位置するため、角膜への屈折矯正のアプローチがさかんになされている。例えばコンタクトレンズやレーシック、オルソケラトロジーなどが代表例である。

今回の研究も角膜へのアプローチであるが、点眼だけで屈折を矯正する報告はほとんど聞いたことがなく非常に興味深い。角膜表面のナノ粒子が屈折調整の役割を果たしていて、例えば低屈折率ナノ粒子によって角膜表面の屈折率を下げて近視の矯正をしたり、逆に高屈折率ナノ粒子によって角膜表面の屈折率を上げ、遠視の矯正をしているのだろうか?点眼で角膜表面に移行したナノ粒子はどれくらいの時間で排出されるのだろうか?いろいろ疑問、興味は尽きない。

近い将来、目薬で近視を矯正できる時代が来るかもしれないですね。

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