ナノ粒子を用いてCRISPRゲノム編集技術を細胞内に導入

カリフォルニア大学バークレー校(berkeley.edu)と東京大学(u-tokyo.ac.jp)の研究グループは、ウイルスを用いず、代わりに金ナノ粒子を用いて、CRISPR-Cas9(クリスパー・キャス9)ゲノム編集技術を細胞内に導入する手法を新たに開発した。

また、マウスにこの技術を適用し、Duchenne型の筋ジストロフィーを引き起こす突然変異を修復できることを実証した。

CRISPR-Cas9という画期的な遺伝子操作技術は、突然変異したDNAを切断し、遺伝子突然変異を矯正することができるため、遺伝病の治療法としての可能性が期待されている。

しかし、CRISPR-Cas9で遺伝子を操作するためには、Cas9やガイドRNA、ドナーDNAなどの必要成分を細胞に導入しなければならず、生体内での適用には多くの課題があった。従来は、導入にウイルスを使用するのが一般的で、そのため多くの合併症を伴ったり、成分の伝達量が少なかったりと問題があった。

今回開発されたのは、CRISPR-Goldという新しい伝達方法で、伝達にウイルスを使用せず、金ナノ粒子を使用していることが大きな特徴。

DNA-チオール表面修飾された15nmの金ナノ粒子に、ドナーDNAとCas9、ガイドRNAを複合化することにより、必要成分がハイブリッドナノ粒子の形態にまとめられている。さらにこのハイブリッド金ナノ粒子は、特殊なポリマーによって覆われ、カプセル化されているとのこと。細胞の必要なところにカプセル化したナノ粒子が運ばれると、カプセルが壊れ、必要成分が放出される仕組みになっている模様。

Duchenne型の筋ジストロフィーをモデルとしたマウスの筋肉組織にCRISPR-Goldを単回注射すると、疾患を引き起こす遺伝子部位の5.4%を野生型または正常な配列に回復したとのこと。 Cas9およびドナーDNA単独で処置したマウスの場合(0.3%)に比べて約18倍高い値となった。

また、CRISPR-Goldを注射したマウスは、対照群(Control)と比較して、強度と敏捷性の共通テストでぶら下がり時間が2倍に増加 ”two-fold increase in hanging time in a common test for mouse strength and agility1)”という結果が得られたとのこと。

1)”CRISPR-Gold fixes Duchenne muscular dystrophy mutation in mice.“, カリフォルニア大学バークレー校ニュースリリース(2017年10月3日)