昔からあるナノ粒子

ステンドグラス

ステンドグラスで使われている金ナノ粒子

最近とみに注目されている「ナノ粒子」ですが、意外なところに古くから使われています。

代表的なものの一つは、教会のステンドグラスです。
ヨーロッパの教会に行くと、石造りの暗めの空間に、美しいステンドグラスからの光がやわらかく差し込んで、ゆったりとした気分になります。

色鮮やかなステンドグラス

ステンドグラスの鮮やかな赤色の多くは、金ナノ粒子(ゴールド)によるものです。

これが金ナノ粒子でなく有機染料だったら、さすがにあの鮮やかさを、建設当時(古くは中世)から現代まで保てなかったでしょう。また、油絵の具などに使われている無機顔料だったら、あの透明感のある鮮やかな赤を出せなかったでしょう。

昔の人は経験的にナノ粒子をうまく利用していたのですね。

ゴールドが赤色に!?ナノ粒子の不思議

金をナノ粒子にすると、なぜ赤色になるのでしょう?

それは、金属をナノ粒子化すると、プラズモン吸収という金属表面に特有の光吸収の影響が無視できなくなり、色が付いて見えるようになるからです。

金ナノ粒子の場合、プラズモン吸収によって青~緑色までの可視光が吸収され、吸収されなかった赤色の光が私たちの目に届くため、赤色に見えます。

補足:プラズモン吸収について

金属には自由電子という、その名の通り自由に動ける電子(金属が電気を通すのは自由電子のおかげ)が存在しています。自由電子は特定の周波数で振動しており、特定の電磁波(光も電磁波の一種)を吸収します。

たとえば金(ゴールド)の場合、金属の内部では自由電子の振動は、吸収光でいうと紫外線の領域にあり、吸収は目には見えません。しかし金属表面では金属内部よりも自由電子が動きやすく、周波数が低くなるため、光の波長に換算すると金の場合、青色の領域に吸収が出てきます。

この吸収のことを、表面プラズモン吸収と呼びます。

プラズモン吸収は、金属表面に特有の吸収なので、ミクロンオーダーの金属粒子やバルク(かたまり)でも、プラズモン吸収はあります。

但し、ミクロンオーダーの金属粒子やバルクは、表面よりも内部の原子が圧倒的に多いため、内部の可視光反射が優勢となり、表面プラズモン吸収の影響はわかりません

ところがナノ粒子まで粒子が小さくなると、表面原子の比率が内部原子の比率に対して無視できなくなるほど大きくなり、表面プラズモンの影響が目に見えて確認できるようになります。