地球温暖化とナノ粒子

21世紀に入って、局地的な集中豪雨(ゲリラ豪雨)の頻度が増えてきており1)、地球温暖化との関連が指摘されてきた2)

地球温暖化は、わたしたちにとって既に身近で大きな環境問題である。今後さらに地球温暖化が進むと、世界各地の気候バランスが変化し、地球環境や社会活動にさまざまな影響を及ぼすことが懸念されている。

地球温暖化の原因としては、産業活動に伴うCO2やメタンガスなどの温室効果ガスの排出増が大きいとされている。これらは地球の大気圏にとどまり、太陽光や地球から放射される赤外線を吸収し、地球上に熱を蓄える効果があるといわれている。

大気を加熱、地球を暖めるナノ粒子

温室効果ガス以外には、大気中に浮遊するナノ粒子も温暖化を引き起こすとされている。化石燃料やバイオマス燃料の燃焼などにより発生する、煤(黒色カーボンナノ粒子)がその代表的なもので、古くから知られている。黒色カーボンナノ粒子は大気を加熱するだけでなく、地球上の雪や氷に付着し、太陽光を吸収し、気温上昇と併せて雪や氷が融けるのを促進する。

黒色カーボン以外には、産業活動に伴い発生する黒色酸化鉄も大気を加熱し地球温暖化の原因となる3)ことが最近の研究からわかってきた。

3)東京大学大学院理学研究科プレスリリース2017.5.16:「人為起源の黒色酸化鉄粒子による大気加熱効果を発見」

このように、ナノ粒子の中には地球温暖化に関与する物質もあり、気候変動への影響を解明し、影響の程度によっては関与物質の発生抑制が急務になってくる。

大気の過熱を抑制し、地球を冷やすナノ粒子

黒色カーボンや黒色酸化鉄といった「黒い」物質が可視光線を吸収し、多くは赤外線をも吸収するいっぽうで、「白い」物質は可視光線を反射し、多くは赤外線も反射する。

これらの「白い」物質は、地球上に降り注ぐ太陽からの光を反射し、地球の温度上昇を抑制している。代表的なものとして、雲のエアロゾル粒子や南極の氷、氷河、雪などががあげられる。

雲、氷、雪は、成分の水(氷)そのものは透明だが、散乱によって白い色に見えている。宇宙から地球をみると、雲の部分や氷河、山脈の雪などは白く見えるが、この白い部分が地球のかなりの割合を占めているのがわかる。

ところが、雲や氷、雪に先ほどの黒色カーボンや黒色酸化鉄ナノ粒子が含まれると、赤外線の反射が抑えられてしまい、せっかくの地球を冷やす効果が薄れてしまう懸念がある。また、黒色ナノ粒子の存在が氷や雪の融解を促進したり、雲の生成に影響を与える可能性4)が示されており、これらの解明が急務となっている。

4)東京大学大学院理学研究科 近藤研究室:研究内容紹介「エアロゾル」