ナノ粒子の分散・凝集コントロール

ナノ粒子は表面エネルギーが大きく不安定なため、凝集しやすい。ナノ粒子の持つ機能を十分に発揮させるためには、ナノ粒子の凝集を抑制し、分散性を上げる、「ナノ粒子の分散・凝集コントロール」が重要なポイントとなっている。

ナノ粒子の溶液中の分散・凝集理論

ナノ粒子の濃度があまり高くない希薄系では、水や一部の極性有機溶媒において、ナノ粒子間のファンデルワールス力とナノ粒子表面の電気二重層の相互作用を体系的に示したDLVO理論がよくあてはまり、参考になる。

しかしながら、極性の低い有機溶媒中へのナノ粒子分散では、DLVO理論は当てはまりにくく、有機溶媒中での体系的なナノ粒子分散理論の構築がのぞまれている。

現在では、ナノ粒子表面での表面修飾や、分散剤の使用による表面状態のコントロール、立体障害の付与による物理的な凝集防止など、ナノ粒子の種類や分散媒に応じた最適設計がなされている。

ナノ粒子の水への分散

親水性ナノ粒子の水への分散

DLVO理論では、ナノ粒子の表面電位を高くすることにより静電気力によるナノ粒子間の反発を大きくし、分散性を維持することができる。

ナノ粒子の表面電位を高くする方法として、例えば酸化物ナノ粒子では水分散液のpHを変化させることにより表面電位をコントロールすることができる。例えば、等電点がpH7の酸化チタン(TiO2)ナノ粒子は強酸性下では表面電位を大きくすることができ、分散性を確保することができる。

また、pH以外に分散性を上げる方法として、分散剤がよく用いられる。分散剤は大きく分けてアニオン系、カチオン系、ノニオン系の分散剤があり、粒子表面の電位、分散液のpHにより適宜選択される。分散剤の役割としてはナノ粒子表面に吸着し、分子鎖が立体障害となって凝集を抑制する効果が大きく、分子量、ナノ粒子のサイズに応じた適切な選定も大切なポイントである。

疎水性ナノ粒子の水への分散

表面が疎水性のナノ粒子の場合、粒子の表面を何らかの形で親水化することが必要になってくる。代表的な親水化方法は以下の通り。

  • ナノ粒子自体の表面を親水化する方法
    1. 物理的エネルギー照射による親水化処理
      1. プラズマ照射
      2. レーザー照射
    2. 化学的処理による親水化処理
      1. 酸処理
      2. アルカリ処理
  • ナノ粒子の表面を表面修飾する方法
    1. 界面活性剤
    2. 高分子分散剤
    3. カップリング処理
    4. 界面重合(グラフト重合処理等)

ナノ粒子の非極性有機溶媒への分散

親水性ナノ粒子の非極性有機溶媒への分散

酸化物ナノ粒子などの親水性ナノ粒子は表面に多くのOH基が存在し、水への分散性が良い反面、非極性有機溶媒には分散しない。

このため、以下に示すような表面修飾等による疎水化処理が必要になってくる。

  1. 分散剤(界面活性剤、高分子系分散材)の使用
  2. カップリング剤による表面処理

酸化物ナノ粒子などでは、OH基等と反応するカップリング剤が好適に用いられる。また、金(Au)ナノ粒子などの金属ナノ粒子では、チオールやアミン系の表面修飾剤がよく用いられる。

ナノ粒子の溶剤への分散手法は複雑で、すりあわせ的な要素が大きい。それは分散媒の種類によって疎水化度合いが変化するだけでなく、ナノ粒子の種類や合成条件等によっても表面状態がさまざまに変化するため、個々のナノ粒子分散液ごとに分散条件を最適化する必要があるからである。