名称:銅ナノ粒子、Cuナノ粒子、銅ナノコロイド、Cuナノコロイド
(英語名)Copper nanoparticles, Cu nanoparticles
Cuナノ粒子は、電子材料向けで特に注目を集めている。
銅は金、銀などの貴金属材料と比べて比較的安価で、電気を通しやすく、マイグレーションを起こしにくい材料であるため、これまでプリント配線板などの電子配線に多用されてきた。
この優れた特性を持つ銅をナノ粒子化し、インクにして電子配線を印刷法で形成できれば、従来よりももっと安価で大量に電子回路基板が製造できるようになるだろう...IoT時代の本格的到来に向け、安価で大量の電子デバイス類が求められている中、銅ナノ粒子を利用したダイレクト配線形成プロセスの確立が急がれている。
しかしながら、銅は金や銀に比べて酸化しやすいため、貴金属ナノ粒子のような従来のナノ粒子製造プロセスをそのまま適用することは難しい。ナノ粒子の粒子径が小さくなればなるほど、表面原子の割合が増大し、ナノ粒子が生成した瞬間から酸化がはじまってしまうからである。
上記酸化の問題を克服すべく、種々の合成法が提唱されているが、基本的にはナノ粒子の表面を改質するか、異物質でコーティングして酸化の進行を抑えている。
銅ナノ粒子の特徴と応用例、用途
導電材料・電子配線への応用
前述のように銅は比抵抗が低く、比較的安価な材料であるため、電子配線などの導電材料(銅ペースト)として期待されている。安価で大量に電子回路が形成できる印刷配線形成法の有力材料候補として、開発が進められている。
開発のポイントとしては、
・酸化抑制
焼成不要で、かつ電気抵抗の低い、ナノ粒子表面の酸化抑制方法の開発
・低電気抵抗
粒子界面・粒子内部の不純物を極力減らし、バルクの抵抗値に近づける
・焼成不要or低温焼成温度
樹脂基板の耐熱温度以下の熱処理温度を実現
・厚膜化
Cuナノ粒子配線の厚膜化とそれに伴う基板との密着性確保
などが挙げられる。
このように、Cuナノ粒子配線に従来の銅めっきや銅箔張のプリント配線基板と同等の電気特性を求めると、開発ハードルが高くなってしまうのが現状の課題である。
しかし、従来基板同等の電気特性までいかなくとも、用途を限定したり、回路設計の工夫等により課題を克服できる可能性があり、部材、回路設計双方のすり合わせにより、比較的早期にプリンティングデバイスへの実用化が進む可能性がある。
革新的な電子回路製造プロセスの実現にむけて、より一層の開発の加速がのぞまれている。
銅ナノ粒子の研究開発・製造業者等
大陽日酸株式会社(tn-sanso.co.jp)
古川電気工業株式会社(furukawa.co.jp)
大研化学工業株式会社(daiken-chem.co.jp)