燃料電池の触媒として、白金(Pt)が広く用いられているが、白金は高価で希少な貴金属のため、代替となる材料が求められている。
そういった中、代替材料の候補としてヘテロ原子ドープ炭素への注目が高まっており、フッ素をドープした炭素材料にも期待が寄せられている。
そういった中、大阪市立大学と大阪市立工業研究所の研究チームはフッ素を高密度に含む親水性炭素ナノ粒子を簡易に合成する方法を開発した。
フッ素を高密度に含む! “親水性”炭素ナノ粒子合成法の開発に成功
~燃料電池、19F MRI造影剤等への応用に期待~2016.9.8 大阪市立大学プレスリリース
これによると、常温・常圧の大気雰囲気下で、ヘキサフルオロベンゼンにフェムト秒レーザーを照射することにより比較的容易にフッ素を高密度に含有する炭素ナノ粒子を合成できるとのこと。
これまでに同研究チームで検討されてきた、2013年の1000℃熱処理法(フッ素含有率0.5%)、2015年の放電法(同5%)を大きく上回る、40%のフッ素含有率を今回達成しており、より簡便な方法でフッ素含有率の高い炭素ナノ粒子の合成に成功したとのことである。
得られたナノ粒子は親水性で、水への分散安定性にも優れることが分かり、上記の燃料電池の触媒のほか、19F NMRのようなフッ素を指標に用いた医療用マーカーなどへの応用も期待されている。