毎日同じ服を着る生活

染め直して何年もはき続けたジーンズ

この20年間、毎日同じような服を着ている。

正確には同じ服ではなく、同じメーカー、デザインの服が何枚もあって、そればかり着るようになっていた。服を買いに行っても、前と同じものがあればそれを買ってしまう。前と同じものがなければ、できるだけベーシックなデザインで、上質なものを複数枚買うようにしている。

同じような服を着回す生活スタイルは、毎日毎日、服をあれこれ選ぶ時間をかけずに、身だしなみを整えることができる。学生時代、おしゃれにお金と時間をかけていた時期があったが、私の人生にとってはほんの一瞬だったかもしれない(笑)。今は、すっかり価値観が変わり余った時間を、仕事やリラックスする時間に使ったほうが、自分にとって時間を有効活用できていると思うようになっている。

ナノ粒子合成の大家であり、私の尊敬する師匠のS先生は、20年以上も前からそのスタイルを実践していた。先生は、周りの常識にとらわれず、いつもクリエイティブで新しいアイデアに満ち溢れていた。その先生が、いつも同じ服を着ていたので、その理由を聞いてみたことがあった。

先生は、
「服を選んだりする時間は自分にとって勿体ないからね」
「服を買いに行って選ぶ時間・・・毎朝どの服を着ようかと悩んだり、選ぶ時間・・・君は1年間のうち、どれくらいそれらに時間を使っている?毎日同じ服だったら、その時間を自分の好きなことに使えるんだよ」
といたずらっ子のような表情で言ってたのを今でも鮮明に覚えている。

「毎日洗っているよ!一週間分の洗い替えがあるから」
と先生は笑いながら付け加えていたが、最初の言葉があまりにも新鮮で衝撃的だったので、当時の私は、先生の冗談に対して笑う余裕がなかった。

そういえば、アップル創業者のスティーブ・ジョブズやフェイスブック創業者のマーク・ザッカーバーグ、バラク・オバマ アメリカ元大統領らも、同じような考え方で、毎日同じ服を着ているとのことである1)

1) Businessinsider.jp:ジョブズ、ザッカーバーグ……成功者がいつも同じ服を着ているのはなぜ?

単なる先生の真似かもしれないが、かれこれ20年ほどジーンズやシャツを着回している。先生に教えてもらった、ジーンズの染め直しも時々やっている。あれから時代は変わり、海外でしか手に入らなかった染料がネットで簡単に手に入るようになった。

DYLONのジーンズブルー染料

ジーンズを染め直すなんて、当時の私には思いもつかなかったが、やってみると簡単で、すぐに新品のような濃い色のデニムによみがえる。膝など部分的に色落ちして穿きにくくなったジーンズも、また穿けるようになる。気に入ったモノは大切にいつまでも使いたい。最近のミニマリストもそうなのかもしれないが、生活がシンプルになると、行動に余裕が出てくるような気がする。

先生は学会や出張にもジーンズで行かれたが、いつもきれいに染められた濃色のインディゴ・デニムをはいていた。フォーマルな場での先生の配慮かもしれない。