シリカナノ粒子は、シリカ(二酸化ケイ素:SiO2)からなるナノ粒子で、工業的にも幅広い分野で使用されているナノ粒子のひとつである。
シリカナノ粒子の用途
ゴム :強度向上、耐摩耗性向上(自動車のタイヤ等)
樹脂 :樹脂の増粘、成形時の流動安定化
インク・塗料 :増粘性向上、発色性・着色性向上、つや消し性向上
接着剤 :増粘(たれ防止)、耐久性向上、耐熱性向上
紙 :インクの発色性向上、にじみ防止(表面コート紙)
研磨剤用途 :シリコンウエハーなどの電子材料の精密研磨剤
スペーサー用途:液晶ディスプレイの精密スペーサー
コーティング剤:樹脂のハードコート剤、ディスプレイの反射防止コートなど
医薬品・食品等:吸湿防止、流動性向上、歯磨き粉の研磨剤など
シリカナノ粒子の製法
気相法(乾式法)
ヒュームドシリカナノ粒子(Fumed Silica Nanoparticles):
火炎法にて製造されている。四塩化などのケイ素(Si)を含む原料を酸素と水素の火炎中で燃焼させ、加水分解反応により短時間で比較的高純度な二酸化ケイ素を合成できる。
得られるシリカナノ粒子は乾いた粉体状。ドイツの化学メーカー、デグサ社が1942年に開発した。工業的に連続大量合成が確立されているナノ粒子の一つ。
液相法(湿式法)
コロイダルシリカナノ粒子(Colloidal Silica Nanoparticles):
水ガラス法とアルコキシド加水分解法の2種類が代表的な製法。
水ガラス法は、水ガラス(ケイ酸ナトリウム)をイオン交換してナトリウムを除去したものを、加熱熟成してナノ粒子化する。比較的低コストで分散性に優れたシリカナノ粒子を製造できる。
アルコキシド加水分解法は、テトラエトキシシランのようなアルコキシドをアルコールなどの溶媒中で加水分解、重縮合することによってナノ粒子化する。一般的に水ガラス法よりも製造コストが高いが、高純度なシリカナノ粒子が得られる。
一般的に湿式法で製造されるシリカナノ粒子は、その製法上、乾式法で得られるシリカナノ粒子よりも溶媒との親和性が高く、分散性を高くしやすい。そのため、分散液の形態で提供されることが多い。