脂質ナノ粒子

脂質ナノ粒子とは、脂肪酸やグリセリドなどの生体適合性の高い脂質を主成分とするナノ粒子で、薬物輸送システム(DDS)のキャリアーとして用いられている。

脂質ナノ粒子のサイズ

10nm~1μm。製法により得られる粒子のサイズは異なる。

脂質ナノ粒子の主成分

主な原料は脂肪酸、グリセリド(モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド)、コレステロール、PEG(ポリエチレングリコール)化合物など。

脂質ナノ粒子の製造法

乳化法と沈殿法が代表的である。

乳化法は古くから知られたプロセスで、例えばマヨネーズがこの方法で製造されている。脂質(乳化剤として働く。マヨネーズの場合は卵黄が相当。)の存在下、油を水中で激しく攪拌すること油が内包されたナノ粒子(エマルジョン)を得ることができる。

乳化法は比較的簡単に油の含有率の高い脂質ナノ粒子が得られるが、粒子径の小さい脂質ナノ粒子を得ることは本法では難しい。

一方、沈殿法は乳化法よりも小さな粒子径の脂質ナノ粒子を合成しやすい。

脂質を溶解したアルコールに水を加えると、脂質の溶解度が低下し、脂質が自己集合することでナノ粒子が生成する。

脂質ナノ粒子の応用例

最近の応用例として、新型コロナウイルスのmRNAワクチンに脂質ナノ粒子が用いられている。有効成分のmRNAはきわめて分解しやすい物質であるため、ファイザー社、武田/モデルナ社いずれのワクチンも、脂質のカプセルでmRNAを保護する工夫がなされている。

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