がん組織の高い温度に反応し集積するナノ微粒子。がん治療薬として期待。

九州大学大学院薬学研究院、量子科学技術研究開発機構の研究グループは、温度応答性のナノ微粒子を研究、がん組織の温度に応答して薬剤分子を集める仕組みを開発した。JST戦略的創造研究推進事業での成果。

がん組織の高い温度に反応し、ナノ微粒子が特異的に集積する仕組みを開発~副作用のないがん治療へ期待~
2017.3.8 科学技術振興機構(JST)・九州大学・量子科学技術研究開発機構(QST)プレスリリース

これまでにがん治療の手段として、がん組織目がけて特異的に治療薬剤を運搬するドラッグデリバリーシステム(DDS)の研究が進められてきている。

ナノ粒子を利用したDDSは、血管等の細胞の隙間を容易に通り抜け、がん組織まで到達しやすい特徴があるいっぽう、がん組織への薬剤の集積の効果が不十分で、正常組織にも薬剤の影響が及ぶ課題があった。

本研究では、がん細胞や組織の温度が正常細胞や組織の温度よりも高くなる性質を利用し、温度で応答するナノ微粒子を開発、がん組織への薬剤の選択的な集積に成功した。

開発したナノ微粒子は、体温よりも高い温度域で集合し、サイズが大きくなる特徴を持っているとのことで、マウスのがん細胞や組織の高い温度に反応して集合し、「ナノ微粒子ががん組織に集積する」様子を蛍光イメージング法で確認できたとのこと。

本研究の成果が、ナノ粒子を用いたDDS開発のさらなる発展に寄与することを期待しています。

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